みなさんこんにちは。
ここからのシリーズ記事として、
神経難病として国から指定されている疾患の
ALS(筋萎縮性側索硬化症)について
説明をしていきたいと思います。
これを読んでいる作業療法学生のみなさんに
一番近く役に立つ事と言えば国家試験ですが、
もちろん臨床でもこのALSを罹患されている方に
関わる可能性はあります。
実際問題、関わる絶対数というのは
本当に少ないと思われますが、
いざ、患者さんの情報を
受け取った時は始めて関わるなら
慌てて疾患について調べて勉強、
という風になるかと思います。
ですが、それよりも前持って
ALSという疾患がどんな病態像だったり、
使用される評価法の種類や実施の場所といった
関わり方を知っているだけでも
その後に続いていく第一歩目の
踏み出し方というものから
いきなり違ってくるはずです。
以前書いたパーキンソン病の記事の
時のように授業レベルで
知るような知識に加えて
その理由についても掘り下げて
みなさんにお伝えできれば
良いなと思います。
それではまず、ALSの病態像とは
どういったものなのかを紹介していきます。
【ALS編3】陰性症状は代表的な4つ以外に何がある?その理由も解説!【ALS編2】4つの陰性症状が障害されない理由は?教科書より詳しく説明!
ALSの病態とは?
「筋萎縮性側索硬化症」という
疾患名の通り脊髄の側索はもちろん、
脊髄前角部にある上位下位の運動ニューロンが
変性、脱落を起こして身体の筋が萎縮してしまう、
というものです。
脊髄の変性疾患による影響を受ける筋は
末梢の遠位筋よりも体幹に近い
近位筋から萎縮が始まるという
ケースが圧倒的に多いです。
始まったその筋萎縮は
最初は身体の上肢から主に蝕んでいき、
やがて呼吸筋や心臓を動かすための
心筋も萎縮させてしまい、
やがては死に至るという
恐ろしい疾患です。
患者さんの判断に委ねられますが、
手術により人工呼吸器を使用して
存命を希望する人もいます。
ですが、その時には自分の運命というものを
受け入れて人工呼吸器を使用せずに
人生を全うする方も数多くいらっしゃいます。
このALSという疾患ですが、
疾患の根本的な原因は未だ解明されておりません。
現在の所、調べてわかったのは
変性する運動神経内に
・ブニナ小体
・レビー小体様封入体
という物質があることが確認された程度で
これらの発生の機序も解明されておらず、
本当に謎が多い疾患です。
封入体とは…
「細胞内に異常な物質が固まりを作った物」
の事だそうです。
陰性症状にはどんなものがあるのか
ALSにおける陰性症状とは主に、
・感覚障害
・膀胱直腸障害
・眼球運動障害
・褥瘡
これらの4つが代表的です。
ALSの病態は脊髄の側索や
前角にある神経ニューロンの
変性や脱落というのは
上で説明した通りですが、
この神経の変性脱落が
起こった場所にあるのは
主に上位下位運動ニューロンであるため、
基本的に陰性症状として
挙げられた項目は
その機能の障害とは
関係が薄いという風に
言い換える事もできます。
それでは以上の4つ以外では
陰性症状として
どんなことが
挙げられるでしょうか。
陰性症状の定義とは
「陰性症状」とはそれが起こらない、
起きにくい症状の事を指します。
精神障害領域などでは、
この「普通は障害に感じてしまう事はない」ことが
強く身体に影響を及ぼしてしまうために
障害としてとらえる必要があります。
そういった時にも「陰性症状」という
ワードを使う事で患者さんの状態を
客観的に評価していくことになります。
一般的にわかりやすい例を挙げるなら、
妊娠検査薬では「陰性」の場合は
妊娠していない、何も起きていないために
結果が「陰性」という形で表現します。
最後に
ALSで代表的な陰性症状となる4項目について
説明してきました。
これら4つは大体どんな所でも、
ALSでの陰性症状と言ったらコレ、という感じで
言われる事が多いです。
さらに代表的な4つ以外の陰性症状として、
・錐体外路症状
・小脳症状
・認知症状
これら3つの症状も
ALSの病態生理とも
関係は浅いために、
起こりにくいという風に
言われています。
次回は上に挙げた陰性症状が
なぜ陰性症状だと言われているのかについて
掘り下げていきたいと思います。
今回も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
【ALS編3】陰性症状は代表的な4つ以外に何がある?その理由も解説!【ALS編2】4つの陰性症状が障害されない理由は?教科書より詳しく説明!