みなさんこんにちは。
前回と前々回に渡ってホーエンヤールの分類について
説明を書いていきました。
詳しい説明は前回、前々回の投稿をご覧ください。
さて、
今回はパーキンソン病の患者さんと関わる時に
どんな事に気をつけていくかについて
説明をしていきたいと思います。
評価する際に気をつけたい事
これは以前にも書いた話ですが、
パーキンソン病とは錐体外路の障害による
疾患のために、姿勢を制御するために下行性伝導路を
上手に使って体勢を整えたり調整することが
難しくなってしまうというものです。
同時に物事に対する意欲や情動などを
制御している場所も障害を受けることになるために、
OTが指示した事をどのタイミングで
始めるのが適切なのか、という事も
こちらから指示する必要があります。
もちろん、指示した内容を言われたままに
できるなら「それはできる」という評価になります。
ですが、患者さんから動作を始められない場合には、
OTの方から手拍子や「1、2の3!」というような
掛け声や合図をすることで患者さんに対して
動き出すタイミングを指示し、
錐体路からの随意的な動きで評価法の動作を
実施して評価をしていきます。
もしもパーキンソン病の方の評価をする際に
合図などのことを何も言わずに
「はい、それではやってみて下さい」と言うと
シーン… 「あれ?」
という気まずい時間が流れてしまって
せっかくのその時間が全くの無駄になってしまうという
ようなことにもなりかねません。
そんなことにならないように、
最初からキチンと患者さんに
「それではこちらの合図で始めてみましょう。行きますよ?」
というような感じで始めると身体がすくんで
動き出しにくいパーキンソン病の患者さんも
指示された動きがやりやすいのではないかと
思います。
それと、
BBS(バーグバランススケール)という
立位や姿勢の制御に関する評価法があるのですが
その評価法を用いる際に、
上の合図で指示を始めることや、立位を取る際の
転倒に対する配慮などをする必要があります。
立位に対する配慮に関しては
下でも説明をしますが、
両側の肩甲帯や腹部などに
いつでも躰を抱えられるようにしておくなどの
リスク管理がキモになってきます。
あとはその他にも、患者さんとOTの位置も重要です。
患者さんとOTで距離がある場合、
支えようとして肩甲帯を手で支えても
患者さんの体重をOTの手だけで支えるには
けっこうな力が必要になるために、
患者さんと一緒にバターン!と転倒してしまう
危険性もあるからです。
お互いがくっつきすぎると
今度は患者さんの方が動き辛いために、
どのくらいの距離なら患者さんとOTで
一番適切に動けるか、また支えに行けるかを
ある程度シミュレーションしておくのが良いでしょう。
ここではBBSについての紹介としましたが、
これらはファンクショナル・リーチ・テストなどの
他の評価法でも同じようなリスク管理が必要になります。
パーキンソン病のADL評価
パーキンソン病では安静時振戦や
嚥下障害などが起こり食事動作に影響が出やすいため、
評価をする必要があります。
ですが、パーキンソン病の評価をするからと言って
ホーエンヤールの重症度分類を使ったから
はい、もうおしまい!ということではなく、
患者さんは普段から自宅や病棟で
どういった生活を送っているのか。
また、どんな事に困って日常生活に支障が出ているのかを
正しく把握して、患者さんは「今どういう状態なのか」を
今後の治療に活かすためにカルテなどに記載しておき
現状の把握をします。
食事の評価
施設にもよりますが、評価をする時は
できるなら食事を一緒にしたりして
動作をスムーズに行えるようにしたり、
一口量をこちらで調整するなどして
誤嚥性肺炎の予防に努めながら
食事動作の評価ができたらより正確な
評価をしていく事ができると思います。
他にも、以前に書いた事ですが
手首に重りをつけて振戦を減らすことで
食事する際にスプーンにすくった食べ物や
持とうとしたコップのお水をこぼしてしまう、という
ようなことも予防できると思います。
整容、更衣の評価
整容や更衣動作の評価の場合は、
立位での動作は転倒のリスクになりうるので
座位での動作が望ましいですね。
パーキンソン病では筋固縮などの
ROM制限が出る事もありますので、
その辺りについてもどの程度なら
身体を動かせる、というような
視点を持つ事が求められます。
入浴の評価
入浴の動作ですが、これに関しては
患者さんだけで安全に入浴が可能なレベルなら
そのままを評価する形で良いと思います。
一人での入浴が難しい場合でしたら
介助をする人に任せてしまえる部分もあると
思われるので、リスク管理として
パーキンソン病の患者さんに慣れていないOTの場合、
安心できる部分が大きいかもしれませんね。
ですが、その時に患者さんの動作を任せている分
しっかり観察をして今度へ活かしたいですね。
トイレの動作
パーキンソン病の患者さんに関わる場合は
特に配慮が必要になりますが、
転倒しそうな時に、患者さんが姿勢反射として
手すりを掴む事は難しいと思われますし、
そういった期待をする事は医療職としてNGです!
そのため、下衣を下ろす時に
患者さんやご家族の要望で付き添えない場合は
看護師の方に付いていてもらうなど、
介助のマニュアルをADL一通り考えておきたいところですね。
最後に
というワケで、
パーキンソン病の方との関わり方について
お粗末ながらいくつか説明させていただきました。
みなさんも外部の実習や学校での
実技試験などでパーキンソン病の方への
評価をする(という摸擬)場合への参考などに
してみてはいかがでしょうか。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。