みなさんこんにちは。
前回はSCDという疾患における遺伝性の場合の
形式について説明をしていきました。
常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝について
書いてあります。詳しくはこちらをどうぞ。
というわけで、
今回はSCDの常染色体優性遺伝の
疾患についての説明をしていきます。
目次
SCDの常染色体優性遺伝の疾患とは
さて、
実際に遺伝性のあるSCDとは
どんなものがあるのでしょうか。
先に常染色体優性遺伝の方から
説明していこうと思います。
まずは代表的な疾患名を羅列してみます。
・SCD1型
・SCD2型
・SCD3型(別名:マチャドジョセフ病)
・SCD6型
・SCD31型
・歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
「SCD 常染色体優性遺伝」で検索すると
ザッとこういった疾患名がヒットしました。
タイプの違う名前や、なんかやけに長い名前…!
この時点でもうすでに画面を見たくなくなったとしても
無理もないと思います 汗
SCD○型という疾患
さて、そんなワケでこの「SCD○型」という疾患が
どんな疾患で、それぞれで何が違うのかについて調べてみました。
SCD1型、2型という数字は疾患の見つかった順番で、
それぞれは発症するための原因となる遺伝子が
違うというカタチで疾患名が分かれています。
(そりゃ遺伝性疾患だから遺伝子全部違うに決まってますが…笑)
で、
SCD3型のマチャドジョセフ(Machado-Joseph)病なんですが
1970年代にポルトガルのある家系でこのSCD3型の発症が
確認されたそうです。
そのSCD3型を発症する遺伝子を持つ家系が2つあったそうで、
50代から発症する小脳性の運動失調と、末梢神経障害や
筋萎縮を発症するマチャド家(Machado)。
そして、
30~50歳代で発症の外眼筋麻痺と進行性の失調、
顔面、舌の線維束攣縮(いわゆるつった状態)に加えて、
身体の痙縮と四肢の固縮を呈したThomas家という
2つの家系がマチャドジョセフ病という
疾患名の由来となったそうです。
みなさんがこれから色んな教科で知っていく
有名な疾患名でも、その疾患について発表した
医師や学者の名前がつけられている事は多いです。
覚え方の一例として密かに自分で語呂合わせを
作ったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マチャドジョセフ病の類型について
この疾患はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型と分かれており、
それぞれで発症する症状が
・Ⅰ型…30歳以下で、錐体外路徴候や外眼筋麻痺を伴う
・Ⅱ型…30〜40歳代で好発。頻度が多い。小脳症状、痙縮も出現。
・Ⅲ型…40〜60歳代で好発。さらに筋萎縮や感覚障害も加わる。
という感じで違っています。
私が学生時代に受けた授業では、この疾患については
そこまで深く先生方から説明を受けたワケではありませんでした。
学外実習で老健を訪問して私より先に学校を卒業した
先輩方にもこのマチャドジョセフ病の知識を現在、
どの程度仕事の役に立てているのか話を聞いてみたところ、
この疾患について学生のうちはそこまで深くつっこんで
全て理解しなくても良いかも…という様な
お話を頂いた事があります。
もちろん授業で紹介する疾患はどれも
臨床で役に立つ知識だからこそ
授業で扱うわけでして、国家試験対策の勉強としても
絶対外せないとのことでしたが、
(あくまでも)勉強の優先順位としては
そんなに高くないような感じの話を聞きました。
私も決して多くない臨床の経験としてですが、
今の所はSCDの患者さんと関わった経験は
まだありません。ですがしかし、
OTとして患者さんの疾患を選ぶ事なんてできませんので
いざという時のためにできるだけ多くの知識を持って
臨床に臨みたいですよね。
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症とは
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症。
臨床では「DRPLA」と略されているようですが、
長い名前の…覚えたくない疾患の代表的な例かもですね 汗
とはいえ、先にも書いた通りで
いつどんな疾患の患者さんと関わるかなんて
誰にもわかりませんし、選べません。
誰よりも一番辛いのは疾患に悩んでいる患者さんです。
そういった方の身体的、精神的な拠り所として
作業療法士という仕事があるわけでして、
とにかく知識はあって困るものでは無いって感じなので
疾患の概要から説明していきます。
この疾患はSCDの中で罹患率が高く、
特に日本人に好発する例が多いようです。
責任病巣は名前の通り、歯状核、赤核、淡蒼球の外節に加え、
視床下核の別名となるルイ体という場所が萎縮してしまう
疾患となります。
12番目の染色体のDRPLA遺伝子というものに
異常が出現したために起こるようです。
錐体外路の一部である赤核、黒質や淡蒼球へと
GABAを伝えるニューロンのある視床下核が
萎縮するという事は、パーキンソン症状が
この疾患で現れる事になります。
それに加えて手足を投げ出すような不随意的な運動の
「バリスム」という状態もこの症状で現れます。
過去に国家試験で出題されたSCD
国家試験では第43回の午前19問目にて
SCDの問題として、脊髄小脳変性症患者が
生活を送るために適切な自助具を選択する、という
絵を選択して答える形式で出題されました。
小脳の障害による運動失調で筋緊張の低下や
錐体外路徴候として姿勢の維持の困難や
企図振戦が起こるためにこれらを使用して
ADLの向上を図ります。
そして選択肢の中にある自助具というのは
間違えてタッチしないために穴の空いたキーボードパッド、
太柄のスプーン、物を取ったりするためのリーチャー、
ビンの栓抜きや座薬入れのようなものでした。
一応この設問の答えは、
小脳性の運動失調のために振戦を影響させないための
キーボードパッドと太柄のスプーンです。
リーチャー、栓抜き、座薬入れっぽい物は
使用時に企図振戦が出現してしまうために
SCDの自助具としては適用範囲外となると思われます。
最後に
今回は遺伝性疾患としてのSCDを紹介しました。
とりあえず他とも繋がる知識として
常染色体優性遺伝の遺伝形式に関しては
ちゃんと理解しておく必要があると思います。
次回は常染色体劣性遺伝、
つまり伴性劣性遺伝のSCDについて
説明をしていきたいと思います。
今回も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。