みなさんこんにちは。
今回は、作業療法士として絶対に
必要な注意機能の話について解説していきます。
みなさんが実際に就職して、
臨床の現場で患者さんと関わっていく中で
脳卒中や脳外傷で高次脳機能面で
障害のある方と接する場面が
きっとあるでしょう。
その時に、患者さんの状態を正しく
評価してカルテを書いたり
仕事の引き継ぎ等をするために
こういった用語やその説明を
理解しておく必要があります。
医療関係の語呂合わせで
「○○4兆候」というようなものが多いです。
今回解説する「注意の種類」も
そのご多分に漏れず、
「注意機能は4つ」という、
これだけは暗記しておく必要があります。
ただ、そんなに難しく考える必要はありません。
実際のADLの中で
「これってもしかして…?」
という自分だけの覚え方でやるも良し、
誰かと一緒に「あるある」で考えても良し。
自分のやりやすい、覚えやすい方法で
覚えてこれからに役立てていきましょう。
目次
注意機能1:持続
この「持続」は最も低次の注意機能と
言われています。
注意を持続させる事ができなければ
自分のやりたい事を最後まで
完了できなくなってしまうためです。
注意機能2:転動
一つの物に注意を向けている状態で
そこから別の何かに対して注意を
移し替える機能の事を指します。
ずっと同じ事をしていて気をそらす事が
難しいと生活をしていく上で周囲の人に
大きくストレスが溜まってしまいます。
この転動性の注意が低下している状態だと
本人は周囲に気付けない感じですね。
そのためこれは、本人よりも
周囲にいる方に影響が強い話と思われます。
注意機能3:選択
対象が複数ある物の中から
選ぶ機能のことです。
ガヤガヤしている場所にいても
人と会話ができるのはこの機能で
聞こうとする声を選んでいるからなんですね。
「カクテルパーティー効果」という名前を
聞いた事のある人もいるかと思いますが
それの事だと考えてOKです。
注意機能4:分配
この「分配」が注意機能の中でも
最も難しいと言われています。
この機能は一つの物ではなくて複数の
物事に対して満遍なく注意を向けるもの。
健常者の方でもコレが苦手な方は
多いのではないでしょうか?
注意機能障害を実際のADL評価で解説!
注意機能が低下している患者さんに
限りませんが、まずその患者さんが
どんな方なのかを知る事から治療が始まります。
患者さんに対面していきなり
「ハイッ、これから検査します!」
なんて言われたら患者さんも
身構えてしまいます。
なので、患者さんの自然な反応を知るために
学生が実習などで患者さんと関わる時は
できればADLの観察から入りたいですね。
では、ADL場面のどんな所で注意障害を
知る事ができるでしょうか?
上に書いた4つの機能別で簡単な例を挙げてみます。
持続
食事:食事の動作が途切るかどうか、同じ物を食べ続ける等
整容:長時間髪をとかし続ける、顔の半分だけ化粧をしてない等
入浴:ずーっと湯船に入り続ける、すぐ出てしまう等
排泄:トイレに行きたいのに気が逸れて漏らしてしまう等
更衣:ボタンを締めずに動作を終える等
転動
食事:食べる物を決められない等
整容:手の泡を落とさずに手洗いを終える等
入浴:頭を洗ってる最中にヒゲを剃り始める等
排泄:用を足したそばから紙を使わずに下衣を上げようとする等
更衣:上着に片腕だけ通してベルトを締めようとする等
選択
食事:お皿に卵を割れない、黄身が潰れる等
整容:歯を磨こうとしてコップを持ってしまう等
入浴:蛇口からお湯が出せない等
排泄:紙を取れない等
更衣:目の前に服があっても手に取れない等
分配
食事:食事が全て終わった事に気付かない等
整容:髪を整え終わった事がわからない等
入浴:頭の片方だけシャンプーする等
排泄:中腰で立ってズボンを上げられない等
更衣:全てのボタンをしめられない等
「物は言いよう」という言葉の通り、
どうとでも言えそうな所もありますが
患者さんの初期の高次脳機能の評価で大切なのは
「できる事」と「できない事」の見える化です。
「できる事できない事」を明確にする
↓
なぜ「できないのか?」という理由を考える
↓
できない理由の仮説を立てる
↓
仮説を検証するためにどうする?
…と、ここまで来て初めて「検査」という
単語が出てきます。
この時に絶対に忘れてはいけないのは、
「カルテ情報ありきの仮説にしない」です。
学生にとって、カルテ情報は正しい物に映ります。
ですが、それありきの行動では患者さんを見る、観る、診るための目が育ちません。
さらにカルテの情報も絶対に正しいとは限らないので
一旦イメージがついてしまうとなかなかまっさらな目で
見られなくなってしまいます。
高次脳機能の評価は、
知識という点を繋げて思考という線にする
技術が求められます。(byある偉い人)
厳しいですがそういう仕事です。
学生の時だとこういうやり方は
慣れていないために精神的に疲れて
実習がキツく感じる事でしょう。
これに関してはもう場数を踏んで
慣れるしかありません。
観察と検査のアセスメントについて
こういう話は学校の先生によっては
あまり言いたくない話かもしれませんが、
できるならカルテを見せてもらって
どういう感じで書いてるのか実物を見たいですね。
授業で模擬のカルテを書く学校もあるでしょうが、
実際のカルテとやり方は違ってて当然です。
そもそも「評価」は患者さんを知らない人でも
その「評価内容」を見た時に患者さん像を
具体的にイメージしてもらうために書くんです。
こういう技術をバイザーの方から教えてもらえないなら、こっちからパクりましょう。
有用な技術はドンドン取り入れて自分をアップデート。
嫌いなヤツの技術は盗みたくない?
その嫌いなヤツのやり方ってのは
どーせ世界中のOTがやってるんで
気にしたってしょんないですって。
嫌いなヤツがヒートテック着てたら
自分は着ないで冬過ごします?って事です。
気にせず自分がレベルアップして技術レベルを高めましょう。
カルテの書き方に著作権とかありません。
現場の第一線で働く先輩がやってます。
勉強させてもらいましょうね♪
まとめ
かなり長くなりましたが…
高次脳機能に関する知識でした。
注意機能の種類は国家試験でも
当たり前のように出題される内容なので
覚える…っていうか理解しましょう。
今回は、
●注意機能1:持続
●注意機能2:転動
●注意機能3:選択
●注意機能4:分配
●注意機能障害を実際のADLで解説!
●観察と検査のアセスメントについて
●まとめ
以上の内容でお送りしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。