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【パーキンソン編2】陰性症状について解説!患者さんへの気持ちの寄り添い方とは?

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みなさんこんにちは。

今回はパーキンソン病の陰性症状について

説明をしていきたいと思います。

 

パーキンソン病というと陽性症状として

前回説明した4大徴候が取り上げられがちですが、

もちろん陰性症状というものもあります。

【パーキンソン編1】4大徴候って何?教科書よりも丁寧に説明します!

 

今回はその陰性症状について掘り下げて

説明をしていきたいと思います。

 

パーキンソン病による自律神経障害

パーキンソン病の患者さんには、

身体内の交感神経節と副交感神経節に

「レビー小体」というタンパク質のカタマリが

できていたという研究報告があります。

 

延髄の断面では錐体外路である赤核脊髄路の

かなり近い場所に交感神経節があるために

その近辺にてレビー小体ができてしまった結果、

交感神経と副交感神経のパランスが崩れて

起立性低血圧や便秘、排尿障害などの

自律神経障害が起こるものと思われます。

 

嚥下障害なども起こるために

誤嚥性の肺炎も起こりやすく、

そこから食欲の低下にも繋がって

体調の悪化を招くことにもなりかねません。

 

パーキンソン病による精神機能の低下

前回紹介した4大徴候がとても有名なために

「ドパミン不足は運動性の機能の低下」という風に

思われがちですが、

その他にも物事の動機付けとして機能する

中脳の「腹側被蓋野」などにも

ドパミンを伝える神経が脱落してしまって

意欲の低下を手伝ってしまいます。

 

しかもそれだけではなく、

4大徴候のせいで身体を自由に動かせない事や

QOLの低下、脳の器質性障害によってなど

患者さんの精神は抑うつ状態になってしまうことも

十分に考えられます。

 

さらにパーキンソン病の投薬治療では

ドパミンの分泌を促す「L-ドパ」といった

治療薬を服用することで、

副作用として幻覚や妄想といった症状を

2次的に引き起こす場合も考えられます。

 

こうした場合には、パーキンソン病の治療薬を

抑えつつ、向精神薬を使っていくことで

バランスを取りながらパーキンソン病の

治療に臨むことが求められます。

 

パーキンソン病と認知症の関係

上でも説明した他に、大脳の前頭前野にも

ドパミン作動性のニューロンが繋がっています。

 

前頭前野という場所では意志決定や反応抑制、

ワーキングメモリー課題の遂行というような

機能を司っています。

 

その場所の機能の低下のために

・ワーキングメモリーの障害
・セルフコントロールができなくなってしまう、

というような症状が出現し、

アルツハイマー認知症とはまた違う認知症状が

みられるようになります。

 

そもそもの話として、

パーキンソン病は中高年の方に

発症の確率が高いこともあり、脳の機能が

全般的に低下して起こる認知症も

考慮して対応していなくてはなりません。

 

患者さんへの関わり方として

これまでの説明を読んでいただければ

わかると思いますが、パーキンソン病に罹った方は

とても大変な思いをされて日々を過ごしています。

 

全身の筋を滑らかに動かせないという事は、

表情を表したり、言葉を上手に話せないために

意志の疎通も病気になる以前に比べて

とても難しくなってしまいます。

 

今、病院や施設で過ごされている患者さん方にも

これまでの人生経験というものがあります。

現状に至るまでには様々な苦労や困難が有ると思われます。

パーキンソン病の患者さんに限らず、そういった方々に対して

その姿を見て驚くというのはとても失礼に映ります。

 

対象者の方がいつも苦労しながら

毎日を過ごしている現実がある、という事を

常に考えていれば実際の患者さんに

お会いした時に大きなギャップを感じて

驚く事もそうそうないかもしれません。

 

是非、毎日の動作に対してやり辛さを覚えている

患者さんの気持ちに寄り添えるOTを目指しましょう!

 

まとめ

今回はパーキンソン病の陰性症状と

自律神経障害、精神機能の低下について

解説させていただきました。

 

「ただ、○○なので××が発生する。」

という説明だけでは

なかなか知識そのものが定着しにくいと

思われるので、自分が学生時代に知りたかった

「なぜ?」を自分で調べてこうしてみなさんに

これからも情報発信できたらいいな、と思います。

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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